身近にあって初めて意識するもの

「死ぬ前に…」

 

最近、祖父と祖母がよく口にする言葉がある。

僕はどんな幸福感に包まれていようとも、どんな絶望感に襲われていようとも、常に死が怖い。今まで積み重ねてきた何かが崩れるのが怖いのかはわからないが、とにかく怖い。

 

そんな死が身近にやってきた。祖父は週に何回も通院し、祖母は死ぬ前にやりたい事を口にする。そんな会話を聞きながら、ペットの犬は尻尾を振って目を輝かせて、遊ぼうと誘ってくる。

 

死を意識しながらも現実逃避をするにはもってこいの構図だった。

 

死んだ後ってどうなるんだろうか、死ぬ瞬間ってどんな気分なんだろうか、 知りたい。

 

生きていく上で、理想の人間像を考えた。

「その人が必要としている言葉をかけてあげられる」そんな人間になりたいと思った。

 

そんな願望を超越して、死は全てを覆い尽くすのだろうか。それとももっと幸福なものなのだろうか。混沌にまみれた世界で生き続けることは決して幸せなんかではなく、死んだ後の世界の方が幸せなのだろうか。

 

この疑問が解決する日が来るといいな。