自分じゃない誰かが

 

彼女の裸がみたい、彼女と一つになりたい、彼女の体温を感じたい、彼女と重なりたい。

 

二人でホテルに行ったら、理性が飛んでそうなるんじゃないかなって思ってました。でも実際はそうでは無かったです。どんなに彼女に魅力を感じようとも、やっぱり突っかかるのは「俺じゃない」という考えだけでした。彼女は"別に"いいやって考えてると思います。大して変わらないだろうと。僕は真逆です。変わりすぎるのが怖かったです。しかも、もし行為に至ったとして行為の途中で彼女に理性が戻ったら、残酷かつ惨めで、虚しい気持ちに襲われることは明らかであると思います。だって、求めてるのは彼氏の体、愛情、熱であって、それは他のどの人間にも耐え難いモノです。

 

なんかいい言葉が浮かんだ気がしたけど、忘れちゃいました。どっちにしろ代えが効かない存在だってことなんですよ。恋人って。だから、隣にいなくなったら悲しいし、別れを経験したらもう二度と隣にいてくれることは無くなってしまう。だから、別れたくないし寂しい。

 

その寂しさを紛らわそうと、他の人間に彼氏を投影するのは極めて危険な事だとわからないだけで、実際にしてしまった後の後悔や寂しさ、虚しさというのはもう計り知れないものだと思います。僕にはこういう考えがあり、彼女にはこういう考えがありません。なぜなら、彼女は今極限に寂しいからです。多少心を許せる人間であれば誰でもいいんです。その寂しさを利用しようとする人間は正真正銘のクズであると僕は思います。いいえ、クズではなくそういった人間が一番多いのは事実かと思います。

 

弱った人を利用して自分の欲を優先させる。

 

そんな醜い感情が僕の愛しい人間に対して向けられている。そんな事実に僕は顔を背けたくなるんです。でも、僕に向けられるのはもっと辛いです。どうするのが良いのか、というよりどうしようもない気がします。僕にはどうしようもできません。彼女が乗り越えるしかないんです。

 

彼女が新しい道に進むのか、今かすかに見える道を舗装して歩いていくのか、どちらかに行くように後押しするしか出来ません。

 

何ってそれが一番悲しいです、愛しい人にとって、僕ができうることは何もないんです。